孵化の準備

準備したもの


プラケース

プラケースを使う方法は、手間やコストがかからないだけでなく、水量が少ないため稚魚が餌を見つけやすい、などのメリットがあると思っています。別に稚魚専用の水槽を用意するとなると、それに伴い、濾過装置、エアレーション、ヒーターなども必要になります。これらは逆に稚魚にとって脅威となることがあります。例えばエアレーションに巻き込まれて目を回したり、ヒーターに触れたりして、死んでしまいます。プラケースのデメリットとしては、過密飼育になりやすい、水質が悪化しやすい、などです。これらのデメリットは意識していれば、克服することは難しくないと思います。

このプラケースのサイズは、最初は水質悪化を懸念して、出来るだけ大きいものをと思い、5L強のものを選びました。しかし、水槽に浮かべるには大きすぎ、また数日で数匹になってしまう稚魚を見て、これはもっと小さいほうが餌を見つけやすいのではないかと思い、現在では2.8Lと非常に小さいものを使っています。稚魚は孵化後3日間は生まれたときについてくるヨークサック(栄養が入った袋)を持っているため、餌を食べなくても死にません。逆に言うとこの3日間に餌を食べることをマスターしないと、4日目以降餓死してしまうわけです。また、当初は視力もまだ良くないため、自分の体(2〜3mm)と同じぐらいの距離しか見えないようです。その距離の間にワムシがなければ、餌を食べることができません。したがってケースのサイズを逆に小さくしてみたわけです。


(右下にぼけて写っているのが定規です。稚魚の大きさが1mmのメモリで判ると思います)
このプラケースに発泡スチロールを細い針金で止め、浮くようにします。水質悪化を防ぐことを目的としてプラケースに小さな穴を2つきりで開けたこともありましたが、何度か使ってみて小さな穴をあけても本水槽との水の交換は起こらないことが分かりました。実際定期的に水替えをするわけですし、穴を開ける必要は全くないという結論に達しました。

ボール
最初の2回は米を計る1合のプラスチック製カップを使いましたが、掬うときの衝撃が強すぎるように思えたとこと矢野さんに底の浅いカップを使ったほうがいいとのアドバイスを頂いたため、4回目はこれを使う予定でした。


しかし4回目の孵化(2003/9/23)直前にボールを使わず、直接プラケースですくうことを思いつき、方針変更。プラケースと針金の間に牛乳パックの切った紙を挟み込み、プラケースを水槽全面と隙間なく設置。そして、プラケース内に光を当てると牛乳パックで光がプラケース内にしか当たらないので、自然とプラケースの中に、稚魚が集まってくるという仕組みを考え、4回目はこの方法で成功しました。牛乳パックの白は稚魚を集めるのに非常に高い効果を発揮したと思います。
(上がプラケース、下がプラケースをカバーする大きさにきった牛乳パック)

(こんな感じで針金とプラケースの間に挟んだ。牛乳パックはこちら側だけなので、反対側から懐中電灯を当てると光はプラケースの中に留まり、稚魚がプラケースの中に集まってくると考えた)

ワムシとクロレラ

カクレクマノミはワムシを使わずにブラインシュリンプだけで育てたことがある人がいるようだったし、ブラインシュリンプは自作のブラインシュリンプ孵化器でタツノオトシゴ用に毎日孵化させていたので、初回はブラインシュリンプだけによる稚魚の飼育を試みてみた。しかし、実際に生まれてきた稚魚はどう見てもブラインシュリンプ(勿論孵化したてのもの)を食べられるような大きさではなかったので、でワムシとワムシネット、淡水濃縮クロレラをゲットし第2回目に使った。淡水クロレラを使ったのはやはりコスト面を考えてのこと。本来は勿論海水産生クロレラで培養したワムシを使うことが稚魚の生存率アップにつながるようです。4回目以降11回目までは海産生クロレラで飼育したワムシを使用しました。
12回目以降はワムシを使わず、ブラインシュリンプの幼生のみを使っています。もし手元にのマリンクロレラアルファ(濃縮海水産生クロレラ)がある時には、ブラインシュリンプの卵をセットするときに300ccの汽水に対し、5〜7滴ぐらいを加えています。本来は孵化した直後の24時間をマリンクロレラアルファを加えた汽水で飼育し、クロレラを摂取させ栄養強化を図るのが良いようなのですが、私は面倒なのでこのやり方にしています。ブラインシュリンプが14時間ぐらいで孵化することを考えると10時間は栄養強化しているのではないかと思っています。ブラインシュリンプの最初に述べたようにカクレクマノミのメスに十分に栄養を与えていれば、ワムシを使わなくても稚魚を育てることが出来ると思います。

(2004年4月7日加筆)


T.カクレクマノミの繁殖方法
ペアリング
産卵
孵化の準備
稚魚をすくう
稚魚の世話
失敗の分析

U.カクレ繁殖記
それぞれの孵化ごとの成長記録

V.リンク集

カクレクマノミなどクマノミ類の繁殖をしている方々のホームページをご案内します。


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