「イソギンチャク飼育についてのアンケート」結果分析
2003年11月20日から12月31日まで募集させていただいた「イソギンチャク飼育についてのアンケート」は、お陰様で79名の方から10種129個体についての情報が寄せられました。そのうち飼育期間が1ヶ月未満で現在も生存中という場合、昨日購入して1日しか経っていない場合なども該当するため、集計対象からはずさせていただきました。その結果117個体のデータを使って分析をしました。また今回自分のデータは加えませんでした。

飼育暦
アンケートを寄せていただいた方を飼育暦別に見るとほぼ3分の1づつになりました。

イソギンチャクの種類に関係なく飼育暦と現在イソギンが生存しているか否かの相関関係を見てみると、生存している個体のキーパーは2年未満の飼育者で66%、2年以上5年未満の飼育者で39%、5年以上の飼育者で61%でした。只この数字から「イソギンチャクの飼育は飼育暦と関係ない」とは言いきれないかもしれません。というのは例えば5年以上の飼育暦を持つ飼育者が初心者の時に飼育した個体についてのデータかもしれないからです。

飼育のポイント
イソギンチャクの飼育には「強い照明」「適度な水流」「水温の安定した環境」を上げる方が多かったです。この3つは程度の差はあれ、全てのイソギンチャクの飼育に必要な環境なのではないでしょうか。そのためにはメタハラ、パワーヘッドやウェーブメーカー、クーラーなどの機材が必要です。ただイソギンチャクの種類によっては蛍光灯だけで十分に長期飼育に成功しているケースや水流にあまり気をつけなくても良いケースがあることがアンケート結果から見えてきました。クーラーは9割近くの方が設置してらっしゃいました。浄水器は約7割の方が使っていました。ただ浄水器の有無と長期飼育との関連は見出せませんでした。カルシウムリアクターは2割の方が使っていましたが、同様に長期飼育との関連は見出せませんでした。

また死亡理由は「原因不明」が殆どでパワーヘッドに吸い込まれたりする事故による☆はほとんどありませんでした。死亡原因が「原因不明」であるところにイソギンチャク飼育の難しさが現れていると思います。

飼育難易度
飼育期間が半年で生存中のものと飼育期間が2年以上で☆のものもあるため、単に現在生存しているからそれを飼育「成功」とするのは乱暴かもしれませんが、現在個体が「生存」しているかどうかをそれぞれの種類別に見てみると次のようになります。

生存率
イボハタ 73%
サンゴ 67%
LT 67%
センジュ 60%
ハタゴ 39%
シライト 34%

センジュの60%やイボハタの73%というのは多少違和感を感じる方も多いかと思いますが、全体の飼育難易度の傾向としてはそう間違っていないのではないかとおもいます。ちなみにReef Centralで良く見るのは

比較的飼育が難しい(イソギンの中では最も容易)
イボハタゴ
サンゴイソギンチャク

飼育が難しい(イソギンの中では普通)
LT
シライト

飼育がとても難しい(イソギンの中でも難しい)
ハタゴ
センジュ

という記述で恐らくこれが一般的な見方のようですが、(私のように)シライトよりハタゴが難しいというのに違和感を感じる人もいると思います。

分類
「チクビイソギンチャク」として寄せられたデータは5件ありましたが、日本ではシライトとして流通していることも多く、データも5件と多くないため、ここでは「シライトイソギンチャク」と合算しました。その結果シライトのデータは32となりました。

また「タマイタダキイソギンチャク」12個体と「サンゴイソギンチャク」15個体も同種という意見もあり、合算することにしました。その結果サンゴとして27個体と見なしました。

その他はハタゴ28個体、イボハタゴ13個体、LT9個体、センジュ5個体、ウメボシギンチャク2個体、キッカサンゴ1個体です。

次のように種類別にアンケートの結果をまとめて見ました。

シライトイソギンチャク(含むチクビイソギンチャク)
サンゴイソギンチャク(含むタイマイタダキイソギンチャク)
ハタゴイソギンチャク
イボハタゴイソギンチャク
ロングテンタクル(LT)
センジュイソギンチャク
その他

アンケートの結果について
アンケートの結果をまとめてみてやはり思ったのは、飼育方法に「絶対」はないということです。これはイソギンチャクの飼育に限らず、全ての魚、サンゴ、或いは生き物に当てはまるのかもしれません。決まった環境で決まった飼育をしても上手く育つ個体とそうでない個体があるということです。イソギンチャクの場合でも「強い照明」「淀みない水流」「安定した水温」で育てても1ヶ月も持たずに☆になる場合もあるし、そういう環境でなくとも長期飼育している人はいます。ただできればそれぞれの生体にあった環境で育ててあげるのが、長期飼育に成功する基本であるのはいうまでもありません。このアンケートの結果が少しでも皆様のイソギンチャク飼育のお役に立つことを願っています。

2004年1月31日

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